タイ北部からの贈り物
黄金の三角地帯(ゴールデン・トライアングル)といえば、かつては麻薬・覚せい剤の密造地域として有名だった場所である。そこでは、原料のケシ栽培が盛んであった。
メコン川を境に、タイ、ラオス、ミャンマーの三国が接している山岳地帯で、世界最大とも言われる麻薬密造地域であったのだ。
ところが、21世紀に入ると、麻薬の生産は減少した。その結果、タイでは新しい文化が生まれ、根付き始めている。
例えば、タイ側の山間部にあるチェンライ県では、ケシの代替作物としてコーヒーやお茶の栽培が進んだ。
かつてタイではコーヒーの人気は低く、首都バンコクでさえ甘過ぎたり、コーヒーそのものの味がもうひとつだったりし、日本人が日ごろ好んで飲んでいるコーヒーを飲める店は少なかった。
それが今では、街のあちこちにコーヒーショップができ、美味しいコーヒーがどこででも気軽に飲めるようになったのだ。
それは、コーヒー・ブームと言っても過言ではない。タイ北部産のコーヒーが、タイのコーヒー・ブームを牽引している。
王室系プロジェクトによる「ドイトゥン・コーヒー」を筆頭に、「ドイチャン・コーヒー」、「チェンライ・コーヒー」、チェンマイが本拠地の「ワーウィー・コーヒー」等々が、コーヒー豆の栽培から販売までを行う。
カフェ・チェーンも広がり、タイ産コーヒーを扱うカフェは、首都バンコクでも確固たる地位を築くようになった。
また、バンコクには、東京に勝るとも劣らないオシャレなカフェがたくさんある。
バンコクに旅行した際は、海外資本の大手コーヒーチェーンではなく、タイ産コーヒーを提供するカフェに、是非、立ち寄ってみてほしい。
C.U.