フィリピン・ニンニク事情(2)バタネス州編

このブログでは、4月に、「フィリピン・ニンニク事情(1)イロコスノルテ州編」をお届けした。
フィリピンでは、国民の多くが国産のニンニクを好んでいるにも関わらず、輸入品に押され、国産品がわずかしか生産されない状況である。

今回は、『作付用種ニンニク』を探しに行った2か所のうちの一つで、かつて国内のニンニク消費を支えていた産地「バタネス州」をご紹介しようと思う。

バタネス州は、ルソン島の北にあり、台湾とルソン島の真ん中ほどに位置する島である。

バタネス島を選んだのは、フィリピン国内での流通が限られている現在においても、島の主要な産業はニンニク生産であり、栽培される品種が、他のフィリピン国産と比べて特異であるからだ。
また、栽培方法もかなり特異で、無肥料・無化学肥料・無潅水で栽培を行っている。

島の人々は、「我々のニンニクは、オーガニックである」と胸を張る。

バタネス島の農民グループに対するインタビューの様子

乾期であっても湿気を含んだ気候と、移動式焼き畑農業を行って10年単位で栽培する場所を変えていくことが、無肥料・無化学肥料・無潅水栽培を実現させている。

移動式焼き畑農業は、間隔さえ開ければ、環境に無理が無く持続可能な農法であると言われる。
しかし、パプアニューギニアなどでは、人口圧から焼き畑後に放置して地力を回復させるまでの十分な年月を置くことが出来ず、地力が衰えていくことが近年問題となっている。このことから見ても、バタネスは成功例と言えるだろう。

焼き畑の農地。ここでニンニクが栽培されている。

バタネス島を訪ねれば、すぐに、離島であり金肥や農薬などの費用をかけられず、潅水させるにも農業用水へのアクセスが困難であることがわかる。加えて言うと、ここは、フィリピン国内でも収入が著しく低い地域でもある。これらの状況が、おのずとオーガニック栽培に導いている。

さて、その品種、バタネスレッド種は、フィリピンで一番ポピュラーなイロコスホワイト種と比較して鱗片数が少なく、1片のサイズが大きいのが特徴だ。そのことが、今回、作付け用種ニンニクとして調達する一番の理由である。

イロコスホワイト種が一玉当たり20片以上なのに対し、バタネスレッド種はだいたいが10片未満なのである。ただし、品種の固定がきっちりしていないようでばらつきも見られた。今後、選抜していけば6片前後の品種になる可能性があるのではないかと期待している。

フィリピン国は、2023年までにニンニクの国内消費量の56%国産を目指していたのであるが、現時点で6%くらいの自給率のまま2024年になってしまった。我々の活動が、少しでも、国産ニンニクを増やしていくことにつながればと思う。

H.D.